デビュー映画「20世紀ノスタルジア」

デビュー映画「20世紀ノスタルジア」

映画「20世紀ノスタルジア」は1997年に公開されました。自主映画の世界では1970年代から注目を集めていた原将人が撮影した初めての商業映画です。広末涼子の映画デビュー作であり、映画初主演作でもあります。広末はこの映画での演技が好評を得て、各映画賞の新人賞を総なめにしました。

あらすじ

遠山杏は放送部に所属する高校2年生。ある日、ビデオカメラの練習中に、同じ高校の転校生・片岡徹に声をかけられ「一緒に映画を撮ろう」と誘われます。宇宙人・チュンセに自分の体をボディジャックされていると言う徹の不思議な雰囲気に惹かれ、杏はチュンセから分離したポウセという宇宙人に体を貸すことに。翌日から二人は滅びゆく地球の現状をカメラに収めていきます。夏休みの間、東京中を駆け巡って撮影した映画は、とうとうラストシーンの撮影にまでこぎつけますが、徹は映画を完成させることなく突然オーストラリアに転校してしまいます。2学期になり、徹にビデオレターを送っても返事はなく、すっかりやる気をなくしてしまった杏。しかし放送部の顧問の先生に、映画を完成させるように言われ、仕方なく徹の残した膨大なテープの編集に取り掛かります。そうしている内に、杏は徹が地球滅亡を止められないことを一人真剣に思い悩んでいたことを知ります。軽い気持ちで撮影していた自分を恥じた杏は、徹の代わりに最後のシーンを撮影し、映画を完成させることを決意するのでした。杏は、徹が描いた死のイメージではなく、再生のメッセージを込めることで映画を完成させます。ある日、完成した映画を観た徹が帰国し、杏の元へともどってきました。本当のラストシーンを撮るため、浜辺へと向かう二人。いつの間にか二人の間に芽生えていた愛情をお互いに感じながら、未来へのメッセージを撮影するのでした。

エピソード

「チュンセ」と「ポウセ」という名前は、宮沢賢治の「双子の星」に出てくる主人公の名前です。チュンセ役を演じた圓島努は画家・アーティストとして活躍している人物で、武蔵野美術大学在学当時に、講義の様子を写した映像に偶然写っていた本人を原将人監督が直観的にキャスティングし、演技経験がないながらも俳優としてこの映画に出演したという経緯があります。また、この映画の撮影は、広末涼子がブレイクする前の1995年8月に撮影が開始されていたのですが、制作が一時中断し、広末がブレイクした後の1997年1月に撮影を再開しました。それに合わせてシナリオも改変され、1995年撮影分の多くが夏休みのシーンとなり、1997年には主に2学期のシーンが撮影されました。原将人監督は広末の女優としての素質・姿勢を評価し、「広末涼子は女優菩薩である」と絶賛しています。また、劇中では出演者自らがビデオカメラを持ち、撮影したシーンが多数使われています。劇中歌も多く使用され、ビデオカメラを持ちながらチュンセやポウセが映画の中で歌っています。

キャスト

  • 遠山杏(ポウセ)・・・広末涼子
  • 片岡徹(チュンセ)・・・圓島努
  • 芦川ひろ子・・・多田亜沙美
  • 北村嘉代・・・新田聡子
  • 片岡信子・・・大島蓉子
  • 遠山信也・・・根岸吉太郎
  • 遠山桃・・・余貴美子
  • 教頭先生・・・佐藤正宏
  • お巡りさん・・・梅垣義明
  • 生徒・・・西出美帆

スタッフ

  • 監督・・・原将人
  • 企画・・・佐々木史郎、井上義久
  • 製作・・・西村隆、佐藤美由紀
  • プロデューサー・・・梨木友徳
  • 脚本・・・中島吾郎、原将人
  • 撮影・・・馬場順一
  • 照明・・・金子高士
  • 録音・・・浦田和治
  • 音響効果・・・岡瀬昌彦
  • 美術・・・丸尾知行
  • 編集・・・宮島竜治
  • 記録・・・生田透子
  • 音楽プロデューサー・・・安室克也
  • 配給・・・大映
  • 主題歌・・・「ニューロンシティの夜」作詞・作曲:原将人、唄:広末涼子・圓島努

受賞

原将人
第38回日本映画監督協会新人賞
広末涼子
第21回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞
第52回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞受賞
第19回ヨコハマ映画祭新人賞受賞
第23回おおさか映画祭新人賞受賞
第12回高崎映画祭ベストアイドル賞

感想

高校生の広末涼子が初々しく瑞々しい作品です。とにかく若くて一番かわいい頃の広末さんの魅力がギュッと詰まったような映画でした。まだ純粋で子供だった頃の広末さんは本当に魅力的です。この頃はだれも彼女が2度もできちゃった結婚をするとは想像していなかったことでしょう。映画の内容はとっても不思議なお話です。ファンタジーの様で、でもリアリティが合って、悪く言えば難解な映画です。ですが、10代の若者特有の悩みや痛みのようなものがひしひしと感じられて、自分が高校生だった頃を思い出して切なくなりました。ミュージカル調の演出や手持ちカメラの多用など、実験的な要素も多いため、好き嫌いの分かれそうな映画ではありますが、広末涼子の初々しさとかわいらしさを堪能するのには最適の映画だと思います。広末ファンは必見です。